信用取引で長期投資がオススメできない理由。
とある方が信用取引で長期投資を宣言していたのですが、信用取引は悪とするコメントは多いのですが、なぜ悪なのか、なぜ信用取引で長期投資はダメなのかをあまりうたってないなと思いました。
そこで長期投資をするなら現物取引にしたほうがいいという理由を記事にしてみました。参考にしてください。
信用取引が長期投資に向かない理由を考える前に、そもそもなぜ長期投資が短期投資に比べ有利なのかを考えてみます。
1.売買手数料が矮小で済む。
短期投資の場合、基本的にゼロサムゲームです。天才投資家は違うかもしれませんが凡人投資家は皆勝ち負け五分です。
そう考えた場合、売買を繰り返すほど手数料分マイナスになることが一般的に知られています。
2.節税効果が臨める
金融商品の利益に対する税金はその利益が実現した場合に課税されるという仕組みになっています。そのため、含み益は含み益のままとしておけば投資の税金は合法的に繰り延べることが可能です。
配当金を受け取って再投資をするという手法を考えた場合にも20%税金で差し引かれた金額を再投資しなければならないわけですから、机上の理論でいけば配当を受け取らず企業に事業再投資をしてもらい、事業拡大を続けて貰った方がより良い投資となります。バフェットの盟友であるマンガー氏によれば、長期投資は1〜3%の節税効果が見込めると言っており、普遍的な解釈と捉えて差し支えないでしょう。
3.配当を受け取ることが可能。
短期投資の場合でも、配当金を受け取ることは可能です。しかし、配当落ち日に短期的に投資した場合、配当分株価が下落することも多く、配当目的で買う短期はあまりいないという点からも長期投資の場合のメリットと捉えて良いかと考えています。
私はこの三点が長期投資が短期投資に比べ有利とされる点であると考えています。
さて、タイトルの話に戻ります。
長期投資で信用取引がオススメ出来ないのには現物投資に比べ、1〜3全てにおいて劣後する可能性が非常に高いからです。
1の売買手数料
信用取引期間中は年間2から3%程度の信用取引にかかる金利がかかります。つまり、毎日売買を繰り返しているようなものになります。
いくら長期投資はプラスサムだなんだと言っても、一株あたりの単価が上がれば金利の金額もあがりますし、金利分負ける可能性は非常に高くなります。(売りが優勢となった場合、逆日歩を受け取る場合もありますが、多くの場合、金利分負けると考えていいでしょう。)
また、諸経費として1ヶ月ごとの管理費もかかります。
例として100万円分の株を信用買いをし、金利3%であった場合、金利が年間3万円で済むかという話になると思いますが、値動きによって金利も変動しますし、管理費も当然かかりますので5万円ぐらい金利がかかるケースも十分考えられます。つまり100万円分信用取引をすると年間5万円は目減りする可能性があるということです。
2の節税効果
企業の事業活動に依存する話ではありますので、こちらはあまり関係ないように思われます。しかし、1〜3%の節税効果を遥かに上回る金利が重くのしかかることから企業が事業をどれだけ頑張っていくら稼いでも、金利は3%ですから節税効果などなくなってしまいます。
3の配当金
信用買いにも配当金相当額ということで、配当をもらうことが可能な制度はあります。しかし、こちらも名義変え手数料が発生します。
また、配当金相当額は雑所得扱いとなり、配当控除や株式売却の損益通算ができません。
まとめ
信用取引で長期投資をする上でのデメリットをつらつらと書いてきました。
言いたいこととしては、信用取引での長期投資は長期投資のメリットを全部潰すことになるよということです。
当然、短期的に株価が跳ね上がることで、報われるパターンもあるかとは思います。しかし、長期投資の基本はコツコツ資産を伸ばしていくですから、短期で大幅な値上がり益を目論む信用取引の性質と相反するものとなります。
信用取引は売り圧力になるからとかそういうのは別にしても、あらゆる面で信用取引での長期投資は不利なので、長期投資は現物取引で行いましょうというのが私の結論です。