コロプラの営業赤字から見るゲーセクの今とこれから
2/6にコロプラの2019年12月期第1Qの決算発表がありましたが、2013年の上場来初の営業赤字を記録したということで話題になっています。
件のコロプラに限らず、2018年から2019年にかけて各ソシャゲ企業が苦戦を強いられているケースが非常に多いですね。
ケイブ、マイネット、klabといった2016年、2017年にゲーセクを沸かせた企業たちも軒並み減収減益となっており、ソシャゲを取り巻く構造的な問題があるものと見ています。
ソシャゲ業界に何が起きているのか私なりの見解です。
ニーズが多様化する国内マーケット
ソシャゲ企業の多くが国内マーケットに依存しすぎていますが、国内アプリ市場は緩やかな成長を続けてはいるものの、アプリの母数はどんどん増えていっています。
国内アプリ市場はレッドオーシャン化が激しく進み、今までのようなひっぱりアクションやカードバトルだけのどこかで見たことあるような仕組みのゲームで戦える市場ではなくなってしまったことが挙げられます。
裏を返すと、ゲームニーズが多様化してきているということです。
開発期間の長期化とコスト増
2つ目にゲーム開発期間の長期化と開発運営コストの増加です。
ゲームの開発期間は1〜2年と長期化傾向にあり、1に上げたユーザーニーズが多様化する一方、開発立案当初はうまくいく想定だったゲーム要件も、時代のニーズとミスマッチが起きやすくなってきている現状もあるでしょう。
特に2018年はソシャゲ不作の年だったと思いますが、それはゲームニーズの多様化と開発側のミスマッチも大いに影響しているでしょう。
また、2012、2013年頃からスマホのソシャゲ自体は始まっていて、それから年間数本リリースし続け、長く運営をしているメーカーであれば10本、それよりももっと多くのゲームを運営している場合も多いです。
当然ゲーム運営の本数が多ければ運営コストや人件費も嵩みます。
klabが売上的にアカツキとほとんど変わらないのに営業利益が少ないのは、会計上の基準の違いもあろうかとは思いますが、アカツキに比べ圧倒的に運営ゲーム本数が多いのも要因として大きいと考えています。
開発期間を早めると「ワンピース バウンティラッシュ」や「ハンターハンター グリードアドベンチャー」のように乗っけから大コケになりかねないので、品質と開発期間の兼ね合いを取るのも非常に難しいと考えられます。
海外アプリの台頭
3つ目は、海外製アプリの台頭です。
2018年は不作と前段で述べましたが、例外的なところで荒野行動などの海外製アプリが台頭しています。
ファミ通が出している「モバイルゲーム白書2019」で2018年の売上ランキングでは荒野行動が第4位になっています。
そのほかにもあんさんぶるスターズやバンドリ、マフィアシティ、2018年暮れに登場したブロスタといった海外で売れたアプリたちが続々と日本国内でヒットを連発してきています。
これらのアプリは、海外で一定のヒットを放っていることもあり、ゲーム性も何処かで見たような紙芝居ゲームよりもずっと高品質です。
また、荒野行動は時勢にあったアプリの展開(バズ戦略、youtuberによる宣伝戦略)をしており、ゲームの質以外のところでも戦略的に日本市場の攻略を進めようとしている意図が感じられます。
これは、ゲームの質とマーケティング両方の側面が求められるようにもなっていると言い換えることもできると思います。
今後のゲーセク戦略
今後のゲーセク企業への投資は非常にシビアであると考えられます。
モンスト、FGOといったビッグタイトルを持つ企業たちが残存者利益を大いに享受する一方で、大半のソシャゲ企業が多大な運営費や開発費により死滅していく可能性が非常に高いです。
件のコロプラも白猫プロジェクトが大成功を収めていた頃は、新興の星とも呼ばれていましたし、株価も今の5倍以上はありました。
しかし、白猫プロジェクトを超えるアプリを出すことができず、特許ゴロにもなりきれず、中途半端な感じになってしまいました。任天堂に喧嘩を売ったのはまずかった。
それはさておき、まともな開発力を持たない企業、そして市場の変化やユーザーの意識の変化を感じられないメーカー、マーケティング効果の薄い戦略しか出来ないメーカーはどんどん淘汰されていくでしょう。
2016年にアカツキに投資を始めた私ですが、なぜアカツキへの投資を始めたのかは、国内マーケットはいずれ硬直化し、勝ち組負け組がはっきりしてくるであろうという直感にも似た予感からでした。
その際にグローバルで当てに行けるアプリを持っている企業に投資しないとダメだろうと考えていました。
ドッカンバトルは、アカツキ上場当時(2016年3月)は、それほど海外で強いアプリではありませんでしたが、シンプルなゲーム性、かつかめはめ波を打ちたい人はたくさんいるだろうから海外でもヒットにするだろうなと考えていたところ、予想は的中しました。
ただ、今後ドッカンバトルのように日本製アプリで海外のヒットが狙えるアプリが出てくるのかは正直未知数なところもあります。
日本IPを使ったゲームは聖闘士星矢やラングリッサー、KOFのように中国企業も出ており、日本ではなく中国にその果実を取られてしまう可能性もあります。
さらに言えば、VR・ARを利用したアプリも増えてくることも想定されます。これらはR&Dも嵩張りますし、開発費もよりたかくなるでしょう。
これらの内容を踏まえると、来年か再来年ぐらいには大きな変革として、プレイステーション2時代にあったように業界全体での統合や再編が進んでいくのではないかと予想していて、この中心的な立ち位置に立てる会社が今後ゲーセクの中心になっていくだろうと考えています。
付属的なことで言えば国内と国外両建てで戦えるIPはまだ残されていると思うので、2、3年後を見据えた戦略の取り方をしている企業に投資を続けていきたいと思います。
そんな企業を見つけ出す作業もまたおもしろし。
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