『ゆっくり金持ちになる』の言葉を考える
ジェフベゾスがバフェットに対して、「なぜ皆あなたのような投資戦略を取らないのか」と質問を投げかけた際に、「ゆっくり金持ちになりたい人はいないさ(No one wants to get rich slow.)」答えたという。
この言葉に感銘を受け、Amazonの構想に確信を持ち、amazonを作るきっかけとなったという。
このバフェットの言葉は非常に重い。
誰もが欲にかられ、目先の利益のみを追求するからだ。私自身も長期投資家を目指したのはバフェット本の翻訳本を手にしたことから始まる。
しかし「ゆっくり金持ちに成る」というこの言葉はやや曲解されているように感じる。
若くして金持ちとなったバフェット
ゆっくり金持ちに成るといったバフェット自身の若かりし頃の資産は、26歳の時には資産総額14万ドル。30歳の時にはすでに100万ドルを超えていたからだ。
そうバフェットは30代にして、すでに億万長者となっていたのだ。
バフェット自身、幼少期からコーラ売りのビジネスをしていたり、株投資に勤しむなど、ビジネス的な素養がすでに備わっていたことに加え、師匠であるグレアムのもと証券会社に勤めており、20代に相当な給与をもらっていたからだ。
現在のバークシャーの前身となるバフェットアソシエイトを作ったのは、その後の話である。
たかだか100万円や1000万円程度で30代から長期投資を行ってもバフェットを超えることもできないし、まして億万長者になるのはいつになるのかすらわからない。
例えば、2万円を年率4%で51年間かけて複利を転がし続けても、14万円程度にしかならないが、100年経つと100万円到達するのは複利の特性として数字が大きくなる後半は非常に大きくなるからだ。
何が言いたいのかというと、始まりの金額が違えば当然ゴールの金額も変わってくるわけで、理論上は初期投資額が大きければ、年を増すごとに理論的には天文学的な数値になっていくわけだ。
バフェットは偉大であるが、我々は偉大ではない
だが、バフェットは素晴らしい人であり、偉大な人物である。「投資家」であり、「事業家」であるバフェットの企業選定眼は確かであり、一流なのは間違いない。
しかし、我々個人投資家はこの「ゆっくり金持ちになる」という言葉には惑わされない方がいいのではないかと私は考えている。