夫婦FIREの必要金額はいくら?計算式とケース別試算
夫婦FIREの必要金額はいくら?計算式とケース別試算
こんにちは、くーです。
最近、単身でFIREを目指す人のブログや体験談はよく見かけるのですが、「夫婦でFIRE」のリアルな試算って意外と少ないんですよね。
我が家も夫婦でFIREを検討しているのですが、単身の場合と違って「生活費が単純に2倍になるわけじゃない」「でも確実に増える部分もある」という複雑さがあって、実際に計算してみるまで感覚が掴めませんでした。
そこで今回、「年間生活費×倍率」の基本式を使って、具体的なケース別に試算してみました。同じように家庭持ちでFIREを考えている方の参考になれば嬉しいです。
結論:夫婦FIREは「年間生活費×倍率」で逆算する
基本式:必要資産 =(年間支出 − 安定収入)÷ 安全な引き出し率(SWR)
必要資産 =(年間支出 − 安定収入)÷ SWR
- 年間支出:生活にかかる全ての費用(住居・食費・保険・税金など)
- 安定収入:配当、不動産収入、軽い副業収入、将来の年金など
- SWR:Safe Withdrawal Rate(安全な引き出し率)
例えば年間支出400万円、安定収入100万円なら、実質的に資産から取り崩すのは300万円。これをSWR 4%で割ると7,500万円が必要資産になります。
- 4.0%(×25倍):攻めの設定。市場好調期前提
- 3.5%(×28.6倍):標準的な設定。バランス重視
- 3.0%(×33.3倍):保守的な設定。安全マージン大
私は保守派なので、基本的に3.0〜3.5%で計算することが多いです。
単身FIREと夫婦FIREの違い(効率化と費用増の同居)
光熱・住居はスケールメリット、食費・教育・社保は増えやすい
効率化できる費目:
- 住居費(家賃・光熱費は2倍にならない)
- 通信費(家族プランの活用)
- 車や家電の共有
増えがちな費目:
- 食費(外食頻度も上がりがち)
- 健康保険料(扶養から外れる場合)
- 教育・娯楽費(選択肢が広がる)
年100万円の安定収入があるだけで、必要資産は2,500〜3,300万円も圧縮できます(SWRによる)。
ケース別シミュレーション(実際に試算してみた)
実際に我が家の状況も含めて、4つのケースで試算してみました。数字はすべて万円単位です。
【試算結果まとめ】夫婦FIREに必要な資産額
ケース | 年間支出 | 副収入 | 実質取崩 | 4.0% | 3.5% | 3.0% |
---|---|---|---|---|---|---|
A:持ち家・子ども独立・副収入なし | 360万 | 0万 | 360万 | 9,000万 | 10,300万 | 12,000万 |
B:上記+パート年100万 | 360万 | 100万 | 260万 | 6,500万 | 7,400万 | 8,700万 |
C:賃貸・子あり・副収入なし | 540万 | 0万 | 540万 | 13,500万 | 15,400万 | 18,000万 |
D:将来的に生活ダウンサイジング | 300万 | 0万 | 300万 | 7,500万 | 8,600万 | 10,000万 |
ケースA:持ち家/子ども独立後/月30万(年360万円)・副収入なし
条件設定
・住宅ローン完済済み/子ども独立/夫婦2人の基本生活
- 4.0%:360 ÷ 0.04 = 9,000万
- 3.5%:360 ÷ 0.035 = 10,300万
- 3.0%:360 ÷ 0.03 = 12,000万
一番ベーシック。月30万円でも1億円前後が必要の目安。
ケースB:上記と同条件だが、片方が週2パートで年100万円稼ぐ場合
条件設定
・週2日×4時間・時給1,000円=年100万円。
実質取り崩し額:360 − 100 = 260万円
- 4.0%:260 ÷ 0.04 = 6,500万
- 3.5%:260 ÷ 0.035 = 7,400万
- 3.0%:260 ÷ 0.03 = 8,700万
ケースC:賃貸住まい/子あり(在学中)/月45万(年540万円)・副収入なし
条件設定
・家賃12万円/教育費込み(私立大学想定)
- 4.0%:540 ÷ 0.04 = 13,500万
- 3.5%:540 ÷ 0.035 = 15,400万
- 3.0%:540 ÷ 0.03 = 18,000万
ケースD:将来的に生活をダウンサイジング/月25万(年300万)
- 4.0%:300 ÷ 0.04 = 7,500万
- 3.5%:300 ÷ 0.035 = 8,600万
- 3.0%:300 ÷ 0.03 = 10,000万
生活費の棚卸しと安定収入の洗い出し
生活費:固定費(住居・保険・通信)/変動費(食費・教育・娯楽)
固定費(月約18万円)
- 住宅関連:8万円(管理費・修繕積立・固定資産税込み)
- 保険:3万円(生命・医療・火災・自動車)
- 通信・サブスク:2万円
- 各種税金・社会保険:5万円
変動費(月約12万円)
- 食費:6万円
- 日用品:2万円
- 交通・ガソリン:2万円
- 娯楽・交際費:2万円
年1回の大型支出(年約60万円)
- 旅行:30万円/車検・メンテ:15万円/家電家具:15万円
合計で月30万円(年360万円)という計算です。
安定収入:①配当・家賃等 ②軽労働 ③将来の年金見込み
- 高配当株・REIT配当:月5万円(年60万円)
- 個人向け国債の利息:年3万円
- ブログ・アフィリエイト:月2万円(年24万円)
- 週末のコンサル:月3万円(年36万円)
公的年金:夫婦合計で月15万円(65歳〜)。現在〜65歳までは約120万円/年、65歳以降は約300万円/年という試算。
我が家では基本生活費に対し+10%のバッファを設定。
よくある設計ミスとリスク管理
シーケンスリスク
FIRE開始直後の暴落×高SWRは危険。SWRを保守的にし、現金クッション厚めで対応。
現金クッション
生活費2年分(例:720万円)を現金で確保。下落時は現金を使い、回復で補充。
資産配分とリバランス
- 日本株30/外国株35/債券20/REIT10/金5(例)
- 年1回の機械的リバランスで感情に左右されない運用
物価上昇:実質リターンで考える
名目6% − インフレ2% = 実質4% といった発想でSWRを検討。
計算テンプレート(埋めるだけ)
① 年間支出 = 月支出( )万円 × 12 + 年間イベント費( )万円
② 安定収入 = 配当等( )万円 + 不動産収入( )万円
+ 労働収入( )万円 + 将来の公的年金( )万円
③ 必要資産 =(①−②)÷ SWR
SWR候補:
・4.0%(×25倍):( )万円
・3.5%(×28.6倍):( )万円
・3.0%(×33.3倍):( )万円
まとめ:夫婦FIREの現実的ロードマップ
- 生活費の見える化→圧縮:固定費から削減
- 安定収入の上積み:配当・副業を少しずつ増やす
- 資産配分とSWRレンジ:保守的に3.0〜3.5%を基準
- 2年分現金と更新ルール:感情に左右されない仕組み
夫婦FIREは決して簡単ではないですが、二人で段階的に進められるのが強み。まずは現在の生活費を正確に把握し、上記の式で必要資産を算出してみてください。
一緒に頑張りましょう!