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夫婦FIREの必要金額はいくら?計算式とケース別試算

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夫婦FIREの必要金額はいくら?計算式とケース別試算

夫婦FIREの必要金額はいくら?計算式とケース別試算

著者:くー 更新日:2025-08-18 目安読了:8分

こんにちは、くーです。

最近、単身でFIREを目指す人のブログや体験談はよく見かけるのですが、「夫婦でFIRE」のリアルな試算って意外と少ないんですよね。

我が家も夫婦でFIREを検討しているのですが、単身の場合と違って「生活費が単純に2倍になるわけじゃない」「でも確実に増える部分もある」という複雑さがあって、実際に計算してみるまで感覚が掴めませんでした。

そこで今回、「年間生活費×倍率」の基本式を使って、具体的なケース別に試算してみました。同じように家庭持ちでFIREを考えている方の参考になれば嬉しいです。

結論:夫婦FIREは「年間生活費×倍率」で逆算する

基本式:必要資産 =(年間支出 − 安定収入)÷ 安全な引き出し率(SWR)

必要資産 =(年間支出 − 安定収入)÷ SWR
  • 年間支出:生活にかかる全ての費用(住居・食費・保険・税金など)
  • 安定収入:配当、不動産収入、軽い副業収入、将来の年金など
  • SWR:Safe Withdrawal Rate(安全な引き出し率)

例えば年間支出400万円、安定収入100万円なら、実質的に資産から取り崩すのは300万円。これをSWR 4%で割ると7,500万円が必要資産になります。

SWRは3.0%/3.5%/4.0%のレンジで確認(保守↔標準↔攻め)
  • 4.0%(×25倍):攻めの設定。市場好調期前提
  • 3.5%(×28.6倍):標準的な設定。バランス重視
  • 3.0%(×33.3倍):保守的な設定。安全マージン大

私は保守派なので、基本的に3.0〜3.5%で計算することが多いです。

単身FIREと夫婦FIREの違い(効率化と費用増の同居)

光熱・住居はスケールメリット、食費・教育・社保は増えやすい

効率化できる費目:

  • 住居費(家賃・光熱費は2倍にならない)
  • 通信費(家族プランの活用)
  • 車や家電の共有

増えがちな費目:

  • 食費(外食頻度も上がりがち)
  • 健康保険料(扶養から外れる場合)
  • 教育・娯楽費(選択肢が広がる)
「どちらかが少し働く」選択肢が取りやすい=必要資産を圧縮しやすい

年100万円の安定収入があるだけで、必要資産は2,500〜3,300万円も圧縮できます(SWRによる)。

ケース別シミュレーション(実際に試算してみた)

実際に我が家の状況も含めて、4つのケースで試算してみました。数字はすべて万円単位です。

【試算結果まとめ】夫婦FIREに必要な資産額

ケース 年間支出 副収入 実質取崩 4.0% 3.5% 3.0%
A:持ち家・子ども独立・副収入なし360万0万360万9,000万10,300万12,000万
B:上記+パート年100万360万100万260万6,500万7,400万8,700万
C:賃貸・子あり・副収入なし540万0万540万13,500万15,400万18,000万
D:将来的に生活ダウンサイジング300万0万300万7,500万8,600万10,000万

ケースA:持ち家/子ども独立後/月30万(年360万円)・副収入なし

条件設定
・住宅ローン完済済み/子ども独立/夫婦2人の基本生活

  • 4.0%:360 ÷ 0.04 = 9,000万
  • 3.5%:360 ÷ 0.035 = 10,300万
  • 3.0%:360 ÷ 0.03 = 12,000万

一番ベーシック。月30万円でも1億円前後が必要の目安。

ケースB:上記と同条件だが、片方が週2パートで年100万円稼ぐ場合

条件設定
・週2日×4時間・時給1,000円=年100万円。

実質取り崩し額:360 − 100 = 260万円

  • 4.0%:260 ÷ 0.04 = 6,500万
  • 3.5%:260 ÷ 0.035 = 7,400万
  • 3.0%:260 ÷ 0.03 = 8,700万

ケースC:賃貸住まい/子あり(在学中)/月45万(年540万円)・副収入なし

条件設定
・家賃12万円/教育費込み(私立大学想定)

  • 4.0%:540 ÷ 0.04 = 13,500万
  • 3.5%:540 ÷ 0.035 = 15,400万
  • 3.0%:540 ÷ 0.03 = 18,000万

ケースD:将来的に生活をダウンサイジング/月25万(年300万)

  • 4.0%:300 ÷ 0.04 = 7,500万
  • 3.5%:300 ÷ 0.035 = 8,600万
  • 3.0%:300 ÷ 0.03 = 10,000万

生活費の棚卸しと安定収入の洗い出し

生活費:固定費(住居・保険・通信)/変動費(食費・教育・娯楽)

固定費(月約18万円)

  • 住宅関連:8万円(管理費・修繕積立・固定資産税込み)
  • 保険:3万円(生命・医療・火災・自動車)
  • 通信・サブスク:2万円
  • 各種税金・社会保険:5万円

変動費(月約12万円)

  • 食費:6万円
  • 日用品:2万円
  • 交通・ガソリン:2万円
  • 娯楽・交際費:2万円

年1回の大型支出(年約60万円)

  • 旅行:30万円/車検・メンテ:15万円/家電家具:15万円

合計で月30万円(年360万円)という計算です。

安定収入:①配当・家賃等 ②軽労働 ③将来の年金見込み

  • 高配当株・REIT配当:月5万円(年60万円)
  • 個人向け国債の利息:年3万円
  • ブログ・アフィリエイト:月2万円(年24万円)
  • 週末のコンサル:月3万円(年36万円)

公的年金:夫婦合計で月15万円(65歳〜)。現在〜65歳までは約120万円/年、65歳以降は約300万円/年という試算。

医療費・介護・税・社保は別建てバッファ(年+5〜10%)

我が家では基本生活費に対し+10%のバッファを設定。

日本での実務上の注意(夫婦FIREならでは)

健康保険

  • 任意継続(最長2年)/国民健康保険(所得で変動)/扶養
  • 夫婦でFIREの場合は国保想定が多く、年40〜60万円ほどを目安に計上

年金:国民年金・付加年金/繰下げ受給の検討

  • 国民年金へ切り替え。付加年金(月400円)で将来給付を上乗せ
  • 繰下げ(70歳)でおよそ+42%増額(制度は最新を確認)

住民税・所得税:取り崩しと配当の課税最適化(NISA・特定口座)

  • 新NISAを活用。夫婦で年720万円相当の非課税枠
  • 取り崩し順序を設計し税負担を平準化

住宅:賃貸 vs 持ち家

  • 持ち家の隠れコスト(固定資産税、修繕積立、管理費、大規模修繕)
  • 賃貸は柔軟だが家賃上昇・高齢入居の課題も

よくある設計ミスとリスク管理

シーケンスリスク

FIRE開始直後の暴落×高SWRは危険。SWRを保守的にし、現金クッション厚めで対応。

現金クッション

生活費2年分(例:720万円)を現金で確保。下落時は現金を使い、回復で補充。

資産配分とリバランス

  • 日本株30/外国株35/債券20/REIT10/金5(例)
  • 年1回の機械的リバランスで感情に左右されない運用

物価上昇:実質リターンで考える

名目6% − インフレ2% = 実質4% といった発想でSWRを検討。

計算テンプレート(埋めるだけ)

① 年間支出 = 月支出(   )万円 × 12 + 年間イベント費(   )万円

② 安定収入 = 配当等(   )万円 + 不動産収入(   )万円 
             + 労働収入(   )万円 + 将来の公的年金(   )万円

③ 必要資産 =(①−②)÷ SWR

SWR候補:
・4.0%(×25倍):(   )万円
・3.5%(×28.6倍):(   )万円  
・3.0%(×33.3倍):(   )万円

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まとめ:夫婦FIREの現実的ロードマップ

  1. 生活費の見える化→圧縮:固定費から削減
  2. 安定収入の上積み:配当・副業を少しずつ増やす
  3. 資産配分とSWRレンジ:保守的に3.0〜3.5%を基準
  4. 2年分現金と更新ルール:感情に左右されない仕組み

夫婦FIREは決して簡単ではないですが、二人で段階的に進められるのが強み。まずは現在の生活費を正確に把握し、上記の式で必要資産を算出してみてください。

一緒に頑張りましょう!